「公民権の保証 「十和田観光電鉄事件」」
公民権の保証 「十和田観光電鉄事件」
最高裁S38.6.21第二小法廷判決

<事実の概要>
Xは市議会議員選挙に当選したが、勤務していたYの就業規則では、従業員が会社の承認を得ないで公職に就任したときは懲戒解雇をする旨の規定があり、これに基づきYはXを懲戒解雇とした。

(問題点)
法7条「使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。」と規定している。
Yの就業規則及び処分は認められるか。

<判旨>
Yの上告棄却。
・懲戒解雇なるものは、企業秩序の違反に対し、使用者によって課せられる一種の制裁罰であると解するのが相当

・法7条が特に公民としての権利の行使及び公の職務の執行を保障していることから、Yの就業規則における当該条項は法の規定の趣旨に反し、無効である。
・普通解雇に付することは格別、懲戒解雇に付することは許されない。


【2007/09/30 22:12 】
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「長谷工コーポレーション事件」

別冊ジュリスト ナンバー13
賠償予定の禁止 「長谷工コーポレーション事件」
東京地裁H9.5.26判決

<事実の概要>
X会社には、本人の意思で応募したものを海外に留学させる、社内留学制度があった。
YはXに、留学にあたり、帰国後一定期間を経ずに特別な理由なくXを退職する場合には、会社が留学に際し支払った一切の費用を返還するする旨の誓約書を提出した。
Yは帰国後2年5ヶ月余りしてXを退職した。このため、XはYに留学費用847万円余りのうち、学費に相当する466万円余りの支払いを求めて提訴した。

(問題点)
法16条「使用者は、労働契約の不履行をについて違約金を定め、又は損害賠償請額を予定する契約をしてはならない」に反しないか。

<判旨>
請求容認。
・本留学制度を業務と見ることはできない。

・一定期間勤務した場合には返済債務を免除するという旨の特約付きの金銭消費貸借契約が成立している解するのが相当
・債務返済免除の基準はあいまいだが、消費貸借契約自体が成立していないとはいえない。

・労働契約とは別に(免除特約付きの)留学費用返済債務を負っているのであって、留学費用返済債務は労働契約の不履行によって生じるものではなく、法16条が禁止する違約金の定め、損害賠償請求の予定には該当しない。

(感想)
留学費用については、労働契約とは別個の債務免除特約付き金銭消費貸借契約を結んでいるという判断は、妥当だと思う。



【2007/09/30 11:49 】
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